シン・ゴジラ ネタバレ感想・考察

最高だった。
進撃やエヴァQ、予告編が微妙だったので、かなりの不安を抱きながらの観賞だったが
開始5分でそんな不安は完全に吹き飛んだ。

 

昼間のアクアライン崩壊のシーンでグッと心を掴まれたのだ。
最近の怪獣・モンスター映画は夜戦が定番。
それはVFXが夜だと誤魔化しやすいというのもあるが、怪獣の恐怖感を煽るため出始めは夜なのだ。

そしてだんだんと、怪獣の脅威が時間をかけて大きくなっていくというのが最近の怪獣・モンスター映画の傾向だった。
それが真昼間、しかも大量の血が流れ込んできたという私の知らないゴジラの描写が冒頭でいっきに流れ込んできた。
こんなの、ワクワクするに決まってる。
コメディ調の会議に笑い、巨大生物上陸の映像でギョッと真顔で驚く。
その速さと落差でもう完全に私もパニック、大興奮だ。

後手後手の対応ながら、最善を尽くしている流れは非常に気持ちが良い。(人災や悪意がこの作品には無いのだ)
最善を尽くしているが、それを上回って進化し被害を拡大させていくゴジラ
好き放題に暴れまわっていたゴジラが海に帰っていくとき、私は心底ほっとした。
しかし、私の知っているゴジラはまだ登場していない。もう一度やってくるのは分かっている。
再上陸のタイミングはいつなのか? それが脳裏に張り付いてワクワク感が止まらない。

海に帰った直後、日常が始まる演出。
災害を被っても日常生活を始める事ができる力強さを感じたし、
実際その力強さは日本にあると3.11を思い出して再確認した。とてもいい演出だ。

そこから再びコメディ調の流れで、しばしブレイクタイム。私は今回のゴジラについて考えいた。
今回はいつものゴジラと全く違うのだ。
核の力で活動してるのは予測ができたものの、なぜ血を吐くのか、なぜ進化するのか、もしかしたら
メルトダウンするのか、とか私はワクワクしながら今回のゴジラについて考えていた。

だが考えがまとまらない状態で、二回目の上陸である。
"あ、予告編の時のゴジラだ"と思ったのと同時に、"え、もしかしてまだ進化すんの?"というワクワク感も湧く。
そして多摩川防衛は言うまでもなく最高。整列した10式戦車は圧巻で、空撮での着弾画は私的に超最高。

要請により、米軍のB2登場であるが、紹介映像がなんか昔の特撮っぽいのは笑った。

そしてそして、ついにゴジラの覚醒である。
ゴジラが下を向き、炎を吐き落とした瞬間、"え?ギャレゴジと同じじゃん・・・"という哀しみが頭の中に沸く。
と思ったら、だんだん顔を上げての臨界突破の熱レーザー。え、ヤバい、超ヤバい。
もうこの時点で史上最強のゴジラである。
親近感が湧いてきた首脳陣も全滅し、これからどうなるんだと、ゴジラの巨大すぎる脅威にもう頭の中がパニック。

そしてブレイクタイム。日本に核を落とす決断に対し、阻止するべく各々最善を尽くす動きはやはり気持ちが良い。
(政調会長がとても良い味出してんだよね)
とにかく緩急が絶妙で、飽きさせない作りになっている。


クライマックスのヤシオリ作戦、在来線爆弾(無人)はもうギャグである。
でもそれが良い。庵野の好きなようにするのだ。

虚構vs現実というキャッチコピーは、前半はゴジラという虚構に現実的はどうやって動くのかという、いわばシュミレーション。
終盤ではそれに対し”そろそろ好きにされては如何ですか”という台詞の通り
シュミレーションした現実(核投下で終劇)に虚構(庵野がやりたい特撮)で戦うという作り手の戦いが生まれているように感じた。


”私は好きにした。君たちも好きにしろ。”この言葉こそ、この作品がこうなった理由であり
作り手に対する挑戦状なのではないだろうか。


以上映画を反芻しながら感じた事でした。